コラム Vol.08    中小企業のねばり


2008年5月

 初夏の心地よい風に潮の香りも漂ってきます。ポートアイランドは、都会の中で四季を感じられる貴重な場所です。

 最近、大変嬉しいことがありました。

  ある知り合いの小さな酒蔵が存続の危機に遭いました。明石近辺はおいしい水と、山田錦の産地でもあり昔から酒造りが盛んです。「灘の酒」とよくいわれますが殆どの方は、東灘方面を想像されます。明石は、それに対して西灘といわれ同じく酒どころなのです。そこに「日本一小さな純米蔵」があります。

 全て兵庫県産山田錦を使った純米無濾過原酒しか造らない、年間醸造量も約100石。無濾過、無添加、無加水で味わいはどれも超辛口、ワインでいうならフルボディ、と評判です。「幻の…」と名のつくものは様々ありますが、文句なしのほんものの味で、しかもめったに手に入らないので幻の酒でもあります。私は、学会でのパーティに使わせてもらったり、ドライブの途中に立ち寄ったりするくらいで特別な関係ではありませんでした。

  2月の中ごろ、新酒のできる頃でした。久しぶりに日本酒をと立ち寄ったところ、存続の危機に遭っているというのです。詳細を聞くとあまりに理不尽な話。私たちベンチャー企業にとっても他人事ではありません。何とかしてあげたくともこちらも会社を立ち上げたばかりで、足しになるようなお金などありません。とにかく「最後まであきらめたらあかん、粘り強く交渉を」といって帰りました。その後、自宅に電話があり「あの篠田さんとは知らなかった。もし、方法があれば教えて欲しい」とのこと。自分では何もできないけれど、と私も信頼できるK信金を紹介しました。

 その後、音沙汰無く2ヶ月。2月の末には人手に渡って跡地はマンションになるという危機的状況であると言っていたので心配していましたが、ホームページも依然続いていました。気になりK信金に問い合わせたところ、全面融資できるかどうか検討中とのこと。うまくいくよう祈るだけでした。

  4月末、当の酒蔵の方から全面的に融資がいただけることになったと嬉しい報告がありました。事の次第が我がことのように嬉しく、また最後の最後まであきらめないでといった言葉が生きたことに誰にともなく感謝するのです。

 日本に中小企業は星の数ほどあります。全てが輝いている企業ばかりではないでしょうが、誇りをもって懸命に働き、社会の一翼を担っています。私たちも社員一同、早くそんな仲間になりたいと願って日夜PTA開発にがんばっています。

  中小企業、ベンチャー企業が大きな力に潰されてなるものか!!と憤りながら。


(技術は愛)

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